主に北九州での中小企業のDX支援に関わり始めて、数年が経ちます。
最近は、AI活用に関する相談が増えてきたという実感があります。
AIといっても相談内容はいろいろです。経営者1人だけとか、数人程度の小さな組織であれば、目の前の業務に対して「どうAIを使えば良いか」という具体的な相談が多いです。
一方、ある程度の規模がある組織で、DX担当者から相談を受ける場合は、少し様子が変わってきます。組織として、どのAIツールを使えばよいか、そもそもどの業務にAIを使えばよいか。セキュリティや情報管理はどう考えればよいか。そうした話になってきます。
個人でAIを使うこと
個人でAIを使う分には、多くの場合、活用ノウハウの話で済みます。
昨今、世の中には、AIに関する情報があふれています。新しいAIツールが次々に登場し、既存のツールにもAIを活用した新たな機能がどんどん組み込まれています。これを追いかけるのは大変です。
私自身、そのすべてを追えているわけではありません。支援の現場でも、都度、最新情報を調べながら回答することがあります。「YouTubeなどで探してみると、具体的な使い方が分かると思います」と伝えることがありますし、SNSでAI関連の情報が流れてくるコミュニティやグループを紹介することもあります。
それくらい、個人でAIを使うための情報は多くあります。
実際、AIを個人で使う分にはとても便利で、私自身、ChatGPTなどと雑談するのは日常茶飯事です。何かあった時の壁打ちというだけでなく、日常的な相談相手になっています。
今回立ち上げたこのWebサイトも、コンセプトメイキングはChatGPTと行い、WebデザインはClaude Designにお願いし、できあがったデザインのWordPressテーマ化はClaude Codeがこなしました。もう、百人力です。
優秀なコンサルタントとデザイナーとプログラマーを、個人的に雇っているような感覚さえあります。そもそも、プログラミングについては、今回のWebサイトだけでなく、日常的に開発してもらっていますし…。
私は、どう進めるかを判断し、あとはこうして文章を書いて、コンテンツを作ることに時間が使えています。(もちろん、このサイトでAIが書いた文章をそのままコピペして載せるつもりはありません。どういう内容にするかを相談したり、下調べをしてもらったり、書いた文章に指摘をもらうことはありますが、文章そのものは自分が時間をかけて書くつもりです。)
いずれにせよ、AIを使いこなせる個人の生産性が大きく上がることは、はっきりしています。
組織でAIを使うこと
一方で、組織としてAIを使うとなると、話は難しくなります。
実際の支援で、ある程度の規模の組織で、経営層から「AIを使って生産性を上げよう」と言われた担当者の悩みを聞くことがあります。もっとも、経営者が能天気に号令をかけているだけという話でもなく、経営者自身がAIをしっかり使いこなしていて、社員にどう使ってもらうかを悩んでいるケースもあります。
その担当者は、どの業務にAIを使うのかを考える必要があり、何かよい事例がないかと探している。特に、組織的にAIを使って生産性が向上したものが欲しい。しかし、そうした事例はなかなか見つからないのです。特に、中小企業で、となると。
もちろん、事例がないわけではありません。コンタクトセンターにAIチャットボットを導入するようなものは、生成AIは導入しやすい。生成AIは回答を生成するものであり、質問に回答する業務への適性が高いのは当然です。
当たり前のことですが、回答すること自体が目的の業務ばかりではない。では、何にAIを使えばよいのか。
業務に組み込むのか、個人に任せるのか
従来からのIT化を振り返ってみると、業務を棚卸してIT化する業務を決め、その業務に合うシステムを作る、あるいは導入する。そして、できあがったITシステムをみんなで使う、という進め方でした。
この考え方を、生成AIの使い方に当てはめることができます。業務の棚卸をして、AIが使える箇所を見つけて、例えばプロンプトガイドのように整理する。使い方と操作方法を決め、社員はその方法に沿ってAIを使う。
ただ、AI活用をITシステム開発と同じように考えると、適用業務はある程度、定型化されている必要があります。定型業務であれば、まずは通常のIT化を考えた方が良いかもしれない。
AIによる生成処理を既存のITシステムに組み込むこともあります。そうすれば、社員はプロンプトを考える必要はなく、そもそもAIを使っているという感覚もない。従来どおりITシステムを使っているだけで、AIの恩恵を受けていることになる。
これは、私が数年前から手掛けていたことでもあり、実績もいくつかあります。
しかし、AIに向いている業務を考えたとき、アドホックな用途、つまり非定型な業務の効率化こそがAIに向いているのではないか、という気もします。
それぞれの人が、自分の仕事の中でAIを使う。自分なりに工夫する、自分の作業を効率化する。個人でのAI活用は、そうしたアドホックなものが多いでしょう。
個人のAI活用による生産性向上の総和が、組織としての生産性向上であり、組織としては、個人のAI活用スキルを高めればよい、という話になります。
本当にそれでよいのか
ただ、本当にそれでよいのだろうか、と思うのです。
個人のAI活用を否定したいわけではありません。AI活用はそこから始まるのだと思います。
しかし、個人によるAI活用の生産性向上の総和以上の効果を、組織によって生み出せるようにならないといけないのではないか。
そこには、まだ考えるべきことがあるように感じています。
組織として考えるのであれば、どの業務で、何を改善するのか。その改善をどう測るのか。個人の工夫をどう共有するのか。使う人と使わない人の差をどう扱うのか。リスクやルールをどう考えるのか。そして、それを次の改善にどうつなげるのか。
そうした視点も必要になるはずです。
私自身、この問いに対する明確な回答を持っているわけではありません。
これは今後、私が考えていきたいテーマです。
このサイトにこれから書いていくことの、リサーチクエスチョンのようなものとして、まずは書いておきたいと思います。
